5年次に病院薬局実習があると思うのですが、薬局、病院それぞれ何をするのですか?
前回に引き続き、こういった疑問に答えます。
まだ【Part1】を見ていない方はこちらから!
Contents
本記事の内容
- 薬局実習では何をするのか?【Part1】
- 病院実習では何をするのか?【Part2】
今回は「病院実習では何をするのか」について解説していきます。
病院実習では何をするのか
主にやったことは下記のとおり。
- その①:電子カルテで患者さんの情報収集
- その②:入院患者さんへの服薬指導
- その③:薬事審議会用の資料作成
- その④:抗がん薬の調剤
- その⑤:カンファレンスでの発表
- その⑥:各チームの回診に同行
- その⑦:症例報告会
その①:電子カルテで患者さんの情報収集
これから入院される患者さんや既に入院されている患者さんへ服薬指導をしに行くためには、まず患者さんの情報を集めなければなりません。
そのときに使われるのが「電子カルテ」です。
電子カルテを見れば、患者さんに関する情報を集めることができます。また、この電子カルテは医師や看護師、管理栄養士、理学療法士などの医療従事者が見ることができ、患者さんに関する情報を新たに加えることもできます。
電子カルテは目を通すだけでも大変
指導薬剤師「○○さんの電子カルテ見といて。1時間あげるから。」
実習生3人「わかりました!(1時間も…?)」
後々、僕以外の実習生に当時の心の内を聞いてみたら彼らも同じことを思っていたそうです(笑)
しかし、僕たち実習生3人は1時間で患者さんの情報を集めることはできませんでした。
3人とも、患者さんの情報をメモ帳にすべて書こうとしたからです。
そのくらい患者さん1人に関する情報がありました。
病院実習の中盤にさしかかるころには、3人とも電子カルテからスムーズに情報をとれるようになりました。
その②:入院患者さんへの服薬指導
薬局実習のときの服薬指導とは全然違いました。
特に違かったと感じたのは以下の3点
- 服薬指導前に患者さんの情報が分かっている
- ゆっくりと服薬指導をすることができる
- 患者さんからの質問が多かった
服薬指導前に患者さんの情報を電子カルテによって集めることが出来たので、個人的には薬局実習よりも服薬指導がしやすかったです。
薬局実習では、患者さんの情報が全くない状態から服薬指導をしなければいけないときもありました。
その反面、病院実習の服薬指導では薬局実習のときよりも質の高い服薬指導が出来なければ!という謎のプレッシャーがありました。
その③:薬事審議会用の資料作成
XX病院では、咳止めの薬としてA医薬品を使っていますが、先週に新しい咳止めの薬として△△製薬からB医薬品が出たとします。
病院では全ての医薬品を揃えようとすると大赤字になってしまいますので、類似している薬は片方だけ採用する場合があります。
なので、A医薬品とB医薬品のどちらをXX病院で採用するかを決めないといけません。
このときに話し合われる会議が薬事審議会です。
そして【薬事審議会の資料】とは【A医薬品とB医薬品の比較をした資料】のことです。
具体的には
- 適応(どの疾患に使える薬なのか?)
- 規格(「○○錠 10mg」の10mgの部分)
- 用法、用量(1日1回 朝食後 1錠とか)
- 使用上の注意
- 副作用
- 相互作用(飲み合わせが悪いもの)
- 薬価(薬の値段) など
このような情報をパワポで表にして比較しやすい資料を作成しました。
※絶対にパワポは使えるようにしておいた方がいいです。この後に紹介する症例報告会の資料作成でもパワポを使います。
その④:抗がん薬の調剤
抗がん薬は吸入や接触、針刺しなどによって、ばく露される危険があります。
ばく露されると染色体の異常や流産発生率の増加などが起こると報告されている。
なので最近では、抗がん薬の調剤は薬剤師や医師が安全な装置の中で、適切な操作を行って実施されています。
しかし、少し前までは看護師が安全な対策をすることなく、実施していたところがあったそうです。
少し怖かったけど大丈夫
初めて抗がん薬を調剤するときは、さすがにちょっと怖かったです。
でも、実習生が病院実習中に抗がん薬を調剤する機会は1,2回ぐらいで、僕の友達の中には1回もやらせてもらえなかった人もいました。
それに、指導薬剤師の先生が付きっきりで見ていてくれるので大丈夫です。
それでもやっぱり怖かったです…(笑)
その⑤:カンファレンスでの発表
週に1度、製薬メーカーの方々が病院の薬剤部に来られて、薬に関する新しい情報をくれます。
その後、約20人の病棟薬剤師が集まるカンファレンスがあり、そのときに製薬メーカーからの情報をまとめたものを実習生が発表させてもらってました。
手汗が止まらない
1回目のときは、緊張し過ぎて手汗が止まらなかったです。
ですが、2回目以降からは慣れてきて、大勢の前で発表することに抵抗がなくなってきました。
今では、貴重な良い経験をさせてもらったと感謝しています。
その⑥:各チームの回診に同行
実習先の病院によっては、チームがないという場合もあるかもしれません。
僕の実習先の病院には、下記の2チームがあり、そのチームによる回診に同行させていただきました。
- 感染対策チーム(ICT)
- 栄養サポートチーム(NST)
感染対策チーム(ICT)とは?
病院内で起こるさまざまな感染症から患者・家族、職員の安全を守るために活動する組織で、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、栄養士などさまざまな職種が集まって、病院全体の感染対策活動に従事するチームです。
栄養サポートチーム(NST)とは?
感染対策チームのように多職種で構成されているチームです。
- 食欲が低下している患者さん
- 栄養状態の悪い患者さん
このような患者さんを対象に適切な栄養管理を行い、全身状態の改善や合併症の予防を目指すチームです。
その⑦:症例報告会
病院実習の終盤に症例報告会というイベントがありました。
症例報告会とは、実習中に自分が服薬指導させてもらった患者さんから症例として選び、「薬剤師の立場としてその患者さんに介入したことによって、患者さんがどのように改善されたのか」について、他の病院の薬剤師・実習生、大学の先生に向けて発表するというものです。
病院実習の集大成
11週間の病院実習で学んだことをアウトプットすることができたので、より病院実習で学んだことを定着させることができました。
少し緊張しましたが、毎週カンファレンスで発表させてもらっていたので、手汗が止まらないほどではありませんでした。
薬局実習と病院実習で主にやったことのまとめ
実習の初めの頃、薬局は毎日同じようなことを繰り返しているような印象がありましたが、実習が終わりに近づくにつれて同じ日は一度もないと日常的に感じ取れるようになりました。
- その①:処方箋通りに薬を集める
- その②:在庫を切らさないように医薬品の発注をする
- その③:老人ホーム(在宅施設)の往診を見学
- その④:患者さんへの服薬指導
病院実習は、薬局実習とは反対に実習が終わるまで新しいことを学べました。
- その①:電子カルテで患者さんの情報収集
- その②:入院患者さんへの服薬指導
- その③:薬事審議会用の資料作成
- その④:抗がん薬の調剤
- その⑤:カンファレンスでの発表
- その⑥:各チームの回診に同行
- その⑦:症例報告会
実際に薬局実習と病院実習に行ってみると、今回紹介したこと以外にもたくさん学べることがあります。
僕は実習が始まるまで薬局実習と病院実習がどういったものなのか、まったく想像がつかず不安しかありませんでした。
それでも実習期間中は楽しく学ぶことが出来ました。
実習から約2年経った今でも鮮明に良い思い出として残っています。
薬局実習についてもっと詳しく知りたい方はこちらもどうぞ
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