5年次に病院薬局実習があると思うのですが、薬局、病院それぞれ何をするのですか?
こういった疑問に答えます。
Contents
本記事の内容
- 薬局実習では何をするのか【Part1】
- 病院実習では何をするのか【Part2】
この記事を書いている僕は先日、薬学部を卒業しました。
ですので、11週間の薬局実習と11週間の病院実習も突破してきました。
これから薬学部に進もうか迷っている方の悩みとして、「5年次にある実習って何するんだろう…」という点があると思います。
僕の場合は、意識が低い方だったので薬学部に入学してからも薬局実習と病院実習で何をするのか知ろうとせず、そのくせに行く直前までずっと不安でした。笑
とはいえ、無事に薬局実習と病院実習を終えることができ、実習後もそれぞれの実習先と関わりがあります。そこで今回は「薬局実習と病院実習で、それぞれ何をしたのか」について経験談をふまえてお話していきます。
薬局実習では何をするのか
主にやったことは下記のとおり。
- その①:処方箋通りに薬を集める
- その②:在庫を切らさないように医薬品の発注をする
- その③:老人ホーム(在宅施設)の往診を見学
- その④:患者さんへの服薬指導
その①:処方箋通りに薬を集める
薬局実習で一番初めにやってみてと言われたのが、処方箋通りに調剤棚から薬を集めることでした。
簡単な作業に思えるけど、薬局実習で1番大変だった
やる作業じたいは、みなさんのご想像通り薬を集めるだけです。
しかし、問題が1つありました。
それは僕たちが今まで大学で勉強してきた薬の名前が成分名であるのに対して、処方箋には商品名で書かれているケースがあるということです。
これだけだとよく分からないと思うので、1つ例を挙げます。
エビリファイ錠3mg 2錠 1日1回夕食後 7日分
処方箋に上記が記載されているとします。
この【エビリファイ】は商品名であり、僕たちは初見です。初見である理由は、大学で使う教科書には商品名ではなく、成分名が書かれているからです。
※ちなみに【エビリファイ】の成分名は【アリピプラゾール】です。
なので、僕たちにとっては初見の商品名を既に頭の中にある成分名に変換できるようになるまでは、毎回薬剤師の先生方に聞いたり、添付文書で確認したり頑張っていました。
もちろん変換できるようになってきてからは、薬を早く集めることができるようになり、楽しかったです。
ですが、頭の中で商品名を成分名に変換できるようになるまでは薬を集めるだけでも大変でした。
このような調剤もやらせてもらった
- 散剤の混合
- 水剤の調製
- 軟膏の混合
- 錠剤の粉砕
- 一包化(1回分の薬をまとめること)
その②:在庫を切らさないように医薬品の発注をする
この業務を任せてもらえるようになったのは、実習先の薬局ではどの薬が消費されやすいかなどが分かってきた頃からでした。
薬局実習の中で1番楽しい業務だった
医薬品の発注とは、その薬局にはどの薬を求める患者さんが多いのかを把握していないと務まらない業務でした。
例えば、よく売れる商品は品切れにならないように早めに発注しますが、あまり売れない商品は在庫があまりすぎないように品切れギリギリになるまで発注しないのが普通です。
薬局では、例で述べている”商品”が”医薬品”にあてはまりますが、通常の商品とは異なる点があります。それは、処方箋を持ってこられる患者さんに必ず薬が渡るように薬を用意しておかなければいけないという点です。
そのためには、品切れにならないように、どの薬を求める患者さんがこられるのかを知っていなければなりません。
実習が始まってから日が浅いときは、どの薬を求める患者さんが多いのか全く分からなかったので、発注数を多くしてしまったり少なくしてしまったりでした。
ですが、実習が進んでいくにつれてどの患者さんがどの薬を求めにこられるか分かってきて、発注数のバランスがとれるようになりました。
なので、僕自身の成長が感じられたという意味で1番楽しい業務でした。
その③:老人ホーム(在宅施設)の往診を見学
週に1回行われる在宅施設専門の医師・看護師による老人ホームの往診を見学させてもらいました。
講義の10倍くらい勉強になった
医師が患者さんに薬を処方するときに、なぜその薬を選んだのかなどを目の前で知ることができたからです。
少し難しい例えになってしまいますが、甘草(カンゾウ)という生薬はむくみがでやすいという副作用があります。
大学では、
- 甘草(カンゾウ)の副作用にはむくみがあるから気を付ける
ということだけ教わったとします。
ですが往診見学では、
神経症に対して抑肝散(甘草が含まれている漢方薬)を処方したいんだけど、高齢の患者さんで腎臓が悪いし、少しむくみがあるからやめておこう。
このように処方した理由を生で聞くことができます。それにより、
- 神経症に対して抑肝散が用いられる
- 高齢の患者さんに甘草はあんまり良くない
- 腎臓が悪いとむくみやすい
などの+αの学びがあります。
なので、大学の講義と比べて実践的な知識を多く身に付けることができました。
見学させてもらえたのは10回だけでしたが、このときに得られた知識は大学の卒業試験や国家試験にも活かされました。
その④:患者さんへの服薬指導
薬局実習の中で、1番緊張したのが患者さんへの服薬指導でした。
服薬指導は簡単そうに見えて超難しい
服薬指導は主に下記についての説明を患者さんに行うことをいいます。
- 薬の名称
- 薬の効能、効果
- 薬の用法、用量
- 起こる可能性がある副作用について
- 飲み忘れたときの対応
- 副作用が起こったときの対応
- 飲み合わせについて など
調剤室から窓越しに薬剤師の先生方の服薬指導を見ていると簡単そうに見えましたが、実際にやらせてもらうとめちゃめちゃ難しかったです。
薬に関する知識を完璧にしても、患者さんに必要な情報を出せなければ、ただの薬に詳しい人になってしまうからです。
このことは、僕が初めて服薬指導をさせてもらったときに経験しました。
僕が服薬指導を担当したのは、近くの歯科クリニックから処方箋を持ってこられた患者さんでした。
処方箋を見ると、痛み止めの薬が書かれていて患者さんは痛そうに頬を手でおさえていました。
明らかに誰が見ても抜歯したばかりで、少しでも早く薬が欲しそうでした。
それにも関わらず、「薬の説明を完璧にしないと!」と考えていた僕は、患者さんの痛みに対して気遣うことすらできず、痛み止めの説明を長々としてしまいました。
まさに、ただの薬に詳しい人になってしまいました。
服薬指導後、指導薬剤師の先生からフィードバックをもらったときに初めて自覚しました。
薬剤師は薬の知識があるだけではなく、患者さんに寄り添えないとダメなんだと勉強になりました。
なので、服薬指導は考えなければならないことが多くて難しいものだと身をもって学びました。
「薬局実習では何をするのか」についてだけで長くなってしまったので、病院実習の方は【Part2】でお話します。
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